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障がい者の息子を遺す母の思い

その女性は障がい児である息子を遺し、この世を去りました。その女性に最後に会ったのは、旅立つ半年前の桜が咲くころ…「この方が桜の花を見れるのは今年が最後になります、天気もいいですし、その辺りをご一緒に散歩なさってみてはどうですか?」入院中の病院スタッフから、車いすの押し手を任されました。

「あとのことを頼みます…」桜を見上げながらその女性はそう仰いました。あとのこと、その言葉に全てを集約していたのかもしれませんが、あとのこと、とは何だったのでしょうか? 切ない気持ちになって、ただただ頷いてその場を取り繕ってしまい、その全容を聞き出せなかったことが、今となっては私の後悔です。「死」を間近に控えた人の言葉に、耳を傾けられなくなり逃げ出してしまった自分に腹が立ちます。

残された家族も、遺され託されたものが何かがわからなくて苦しむ…そんな思いをさせたくない、と思いませんか?